クレアチンを摂取すると肉離れや筋肉痛を引き起こすという噂を検証
最近はトレーニングのパフォーマンスを上げるサプリメントとして有名なクレアチン。
ただ、本来、成分としてのクレアチンは肝臓で生成される窒素酸系化合物で、腎臓の糸球体で濾過されます。
サプリメントなどで摂取量が多くなると、筋肉中のクレアチン濃度が高まり、筋肉内の水分を保ったりや筋質量がを増やす効果があります。結果的にパワーが出やすくなったり、筋肉の増加につながったりします。
そのクレアチンですが、ネガティブな都市伝説的意見があるのを選手から聞きました。
彼曰く
1、クレアチン摂取により肉離れを起こす。
2、クレアチン摂取により筋肉痛を引き起こす。
とアスリートの間では一部言われているようです。
今のところクレアチン摂取により顕著な健康的な危害は認められませんが、長期の研究が少ないのでこういったネガティブな意見が出てくるのかもしれません。
この都市伝説を検証してみたいと思います。
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その1 クレアチン摂取により肉離れを起こす
結論を先に言うと、クレアチン摂取と肉離れや腱の障害との関連を示している研究は一切ありませんし、こちらの報告では障害とのつながりを否定しています。(1)
クレアチン摂取によって筋強度が上がることにより、筋などの軟部組織の固さが上がり可動制限などを引き起こす可能性があったり(2)筋力が上がるために筋トレ後のような再生サイクルを加速させたりの影響はでてきます。
またクレアチン摂取で組織の弾性が変化をして組織が固くなり制限を起こす報告もあります。(3)
ただ、これらは一般的に筋トレ後に起こることでもあり、特にクレアチンの摂取が原因とは言えません。
肉離れとのクレアチン摂取との直接的な関係はリサーチからも認められません。
クレアチン摂取によるジャンプ力などパフォーマンス向上の効果性の研究はありますし、肉離れを心配する人は安心して摂取をしてよいかと思います。
また、前述のようにクレアチンは筋肉内の水分の維持にも働きかけます。ではクレアチン摂取により脱水症状を引き起こすのでは?それにより障害につながるのでは?という疑問を持つ方もいるかと思います。
こちらのシステマティックレビューによると(4)
適切量のクレアチン摂取であれば体内の水分バランスには大きな影響を与えないとのこと。
となるとクレアチン摂取により脱水を起こして肉離れを起こすとは言い切れません。
もちろん、水分摂取を怠るとクレアチンを取ろうが取ろまいが障害にはつながりやすいので注意してください。
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その2 クレアチン摂取は筋肉痛を引き起こす
クレアチン摂取によるパフォーマンスが上がるので筋トレもガツガツできるようになります。
そんなイメージから筋肉痛につながるという話が出てくるのかなと思いますが実際はどうなんでしょう?
こちらの報告だと強度が高い運動時にはクレアチン摂取によりエネルギーバランスが保たれるようです。(5)
トレーニングや運動後の筋肉痛は運動後のダメージによる炎症の修復反応です。その際に代謝物質と共に炎症性の疲労物質も出てきます。 こちらの報告ではクレアチン摂取により乳酸やヒポキサンチンなどの疲労物質の凝集が低下したとのこと(6)
(となると、逆に筋肉痛を抑えてくれる可能性もあるのかもしれません。明言できませんので過度の期待はできません)
激しい運動後にはクレアチンの前駆物質のクレアチニンやクレアチンキナーゼが上昇します。これはクレアチン摂取によるものではなく、あくまでも激しい運動によるものです。 クレアチン摂取で筋肉痛になるというよりは、クレアチンでより強度の高い運動ができるためそのダメージも増すと考えるのが妥当でしょう。
クレアチン摂取と筋肉痛との直接的な関係というのも認められないと私は思います。
もちろん研究自体もたくさんあるものではないので、今後長期的な摂取によるリスクなどもでてくるかもしれませんが、誤解されて都市伝説的に話が大きくなっているというのも事実かと思います。
とにかく、サプリメント摂取は医師が処方する薬と違い、自己判断に委ねられるものです。メリット、デメリットを考慮し自己責任で摂取しましょう。
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1、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/12580652/
2. Poussen, M., J. Van Hoeke, and F. Goubel. Changes in elastic characteristics of human muscle induced by eccentric exercise. J. Biomech. 23:343–348. 1990.
3 Watsford, M.L., A.J. Murphy, W.L. Spinks, and A.D. Walshe. Creatine supplementation and its effect on musculotendinous stiffness and performance. The Journal of Strength and Conditioning Research. 17 (1); 26–33, 2003.
4 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2657025/
5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16331129
6 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0838.1993.tb00378.x/abstract
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