筋膜ストレッチという言葉が一般的になってきました。
NHKのためしてガッテンでも取り上げられたり、本も多く出版されています。
しかし、専門家の立場からすると少し誤解されて広まっているようにも感じます。
今回は、巷で噂の筋膜ストレッチについて考察してみたいと思います。
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筋膜ストレッチは本当に筋膜をストレッチしているのか?
ストレッチという言葉から連想しやすいですが、果たして筋膜ストレッチで本当に筋膜は「ストレッチ」されているのでしょうか。
某ウォーキングで一世を風靡した方も、筋膜ストレッチという言葉を使いイマジネーション豊かなストレッチをされているのを拝見しました。
また同様に筋膜をストレッチをするという独自のメソッドも近年たくさん出てきています。
しかし、一体全体筋膜というのはストレッチができるものなのでしょうか?
(以下のエントリでも筋膜リリースについては紹介しているので参考にしてください。)
私としては「筋膜」という言葉が誤解されているのを感じています。
英語でMyofasciaという部位があります。これは正確には筋筋膜という部位なのですが、日本では通常これが筋膜として認識されています。
英語で筋膜はFasciaといい、これは筋筋膜より幅広い結合組織を指します。
このようにそもそも本来筋膜とされている部位について日本では誤解があるのです。
まず筋筋膜だけをストレッチすることは構造上ピンポイントすぎて不可能です。
基本的にはストレッチできるのは筋肉です。
もちろん付着する筋肉の周りの筋周膜は多少は伸びることはあるかと思います。しかしその伸び方は基本的に筋肉に依存されます。
筋肉が硬いと(この筋肉が硬いというのも色々とありますが。組織が硬いのか?トーンが高いのか?筋線維部分での変化が起きているのか?)周りの組織もストレッチされにくいのです。
だから、まず柔軟性は筋肉によることになります。
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筋膜ストレッチは実は筋肉のストレッチ
最近よくみる独自のメソッドでは「筋膜の繋がりによりー」という言い方で、筋膜の繋がりラインを元にストレッチができるとするものが多いですが実際どうなのでしょうか?
以前の記事でも添付させていただきましたがその「筋膜のつながり」というのは実はまだ確証されたものではありません。
確かに筋膜を通した力の伝達は近年言われてきています(参照1 最下部に)
しかしながら、筋膜を構成するものは筋膜だけでなく様々な要素があるために、実際に筋膜の繋がりでストレッチができるという事は確定できません。
ですから複雑な動作をしているからといって筋膜のつながりを伸ばしていると断言はできません。
あくまでイメージで筋膜のつながりで伸びると言っているにすぎないのですね。
例えば、筋膜の元の言葉のFasciaには新たなコラーゲン組織を構築する組織(ECM)も含まれます。ECMは、過剰に使われた筋肉、もしくは座りっぱなしであまり使われなかった筋肉では構造が硬くなったりと変化をします。
同じ様な動きをすると体はそれにともなったコラーゲン組織の構造になりがちです。
例えば野球のピッチャーは同じ回旋を続けるのでその回旋方向への線維が強くなったりします。 その線維も元を辿ると筋肉の収縮パターンありきです。
つまり筋膜の繋がりをストレッチをしていると言われているのは、「筋膜も含まれる筋肉の収縮パターンのストレッチをしている」という事です。
いわば言葉のアヤですね。
筋膜ストレッチという言葉が便利なので、イメージで流通していますが筋膜単体でストレッチができるメニューというのを考えるのは難しく、筋肉をストレッチした結果、筋膜もストレッチされているかも、と考えるのが正しいと思います。
ただ、ストレッチ自体は日常的にもリラックス効果があるので筋膜をストレッチしていなくても健康にはよいかと思います。
気持ちいいですからね〜
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1
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23394717
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25603751/
https://www.hindawi.com/journals/bmri/2010/575672/
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