ランニングをしていて足をぐねった!捻挫した
→すぐにアイシング
そんな方も多いかと思いますが、ちょっと待った!
今回は捻挫にはアイシングという常識を疑ってみたいと思います。
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アイシングの常識を疑う
捻挫をしたら、本で読んだ知識や検索で出てくるからまずはアイシング!! という人、多いのではないでしょうか。
確かに1970~80年代のスポーツ医科学系の教科書では、捻挫にはまずRICE処理(安静、アイシング、圧迫、挙上)と言われていました。
しかし、2013年6月のThe American Sports Medicineの発表では捻挫にはなんでもアイシングという処置は疑問視されています(参照論文1 一番下部に)。
また、様々な文献のレビューではアイシングや圧迫だけで捻挫からの回復をはかるのは効果的でなく、エクササイズと併用するべきだと発表されています。
基本的に捻挫のような外傷(捻挫、ぎっくり腰など)の場合、発生してすぐに炎症期と呼ばれる時期に入ります。これは48時間から72時間くらい。その後に体は傷の修復期に入ります。
炎症期の体の反応として「炎症の5徴」というのがあります。
発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つです。
これらの症状は、怪我をした部位の炎症反応により炎症物質が出るため起こります。
その炎症を抑えるためにアイシングを行った方がいいとこれまで言われてきました。
しかしながら、近年ではこの炎症は傷に対する体のしかるべき反応なのでそのままにした方がいいとも言われています。
炎症期にはマクロファージとい体のお掃除屋さんの役割の白血球の一種が活発になりますが、そのマクロファージがIGF-1という体の修復に必要なインスリン要成長因子をリリースします。
「アイシングをするとそのIGF-1を抑えてしまうために修復が遅くなる」と主張するスポーツ系の専門家が増えてきました。
たしかにIGF-1は組織の再生、修復に必要です(参照論文2)。
また、アイシングすることにより筋肉の神経伝達は鈍くなります(参照論文3)。
アイシングが体の回復を遅らせてしまっている可能性があるわけです。
一方、老廃物質が溜まったリンパを流すには「筋肉のパンプ」させることが重要です。
この活動により腫れを引かすことができます。
ですので下図のように部位を動かせるレベルで圧をかけて筋収縮をさせ、リンパを流してやるのも捻挫の回復には効果的と最近では言われています。
伸縮バンドを足首にグルグルに巻いて足首を動かしています。
熱感と疼痛が顕著にでていたら短期的な痛みのコントロールのためにアイシングは行ったほうがいいかと思います。アイシングは痛みのコントロールには有益なツールです。
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捻挫をした時に行いたいこと まとめ
まとめます。
結局、捻挫をしたら何をしたらいいか?
私が考えるアイシングを含めた処置の原則が以下になります。
まずはすぐに運動をやめる。
↓
そして痛みが堪えられないレベルであれば1時間おきに10~15分ほどアイシングをしましょう。
↓
痛みが引いたらアイシングは止めます。そして、炎症反応が治まってきたら筋肉を無理のない程度に収縮させます。
↓
その後に筋肉の感覚、バランスなどを回復させるエクササイズに入っていきます。
こうしたリハビリをしっかりしないうちに運動を再開するという事は避けましょう。怪我を悪化させる恐れがあります。
このアイシング善玉説、悪玉説はいまだ議論が絶えません。
そして、外傷というのは予防が難しいジャンルでもあります。
外傷を防止するためには、体の反応スピードが遅くなっているので疲れている時はまず無理をしない。
栄養不足の時は筋出力が低下するので無理をしない。
このあたりから気をつけるのがいいでしょう。
また、捻挫は軽視される障害の一つです。しかしながら軽視することにより慢性化する代表的な障害でもあります。
もし「やってしまったら」上記の処置を試してもらえればと思います。
(1)(The American Journal of Sports Medicine, January, 2004;32(1):251-261).
(2)(Federation of American Societies for Experimental Biology, November 2010)
(3)Sports Med, Nov 28, 2011
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