アスリートに多い肉離れ。
同じ箇所を痛めて繰り返してしまい選手生命が短くなってしまう人もいます。
しかし、なぜ肉離れはなぜ繰り返してしまうのか?
今回は、これを簡単にですが考えてみたいと思います。
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肉離れは部位に限らず再発が多い障害として知られています。
しかしなぜ再発してしまうかという原因は、実は未だに明白になっていません。
ただ、仮説が出てはいます。
こちらの文献ではこのような見方をしています。
肉離れをする
↓
肉離れからの痛みで痛みを避けるような動きになる
↓
使用しない筋肉が弱くなる
↓
エキセントリック収縮(伸びながら筋肉が働く)など肉離れを起こすのに関係する筋肉の機能低下が起こる
↓
動きのメカニクスが変化する
↓
肉離れの再発
このようなサイクルがあると考えられています。
また、神経的な抑制、つまり痛みのせいで本来、問題なくできる動き自体も脳が「ダメだ!怖い!」と命令をしてストップをかけてしまう。
これらの要因により思ったように体を動かせずに肉離れを再び起こしてしまうという仮説もあります。
次の文献は最近提唱された前十字靭帯再腱手術から競技復帰の指標の一部としてされたものです。
動く事に対する恐怖心がアンケート項目になっています。
主観的な痛みに対して、恐怖心なく動くことを遂行できるか?というものです。
体の状態がどうあれ、「痛い!」という記憶を払拭できないと完全に競技のレベルを元に戻すのは難しいという結論になっています。
そのため、回復には個人差がどうしても現れます。
肉離れは物理的な組織ももちろんのことですが、心の部分も回復させる必要があると考えられています。
ただこれはメンタルだけの問題かというとそうでもなく、
以前紹介したように筋肉などの運動器では神経の伝達にはFascia(筋膜)という要素も大きく
Fascia(筋膜)の滞りがあると神経伝達が適切に行われず動きに違和感が出て、それが受傷の痛みの記憶とリンクして恐怖心に繋がる可能性もあります。
これらから再発を防ぐためにはFascia(筋膜)の滞りを改善して、「この動きは大丈夫!」という認識を脳に覚えこませて恐怖心なく動けるようにする事が重要でしょう
Fascia(筋膜)の流動性を改善するには以前にも紹介しているドクターエアシリーズや、コンプレフロスが役に立つと思います。
同じ部位で肉離れが再発するのは、心理的な面も含めていろんな要因がありそうな気配です。
総合的なケアができるような人材も求められています。
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【追記】
神経筋肉離れって?
先日、プロ野球の選手が〜筋の「張り」という謎の理由で故障者リストに入りました。
この張りという言葉。実際には当然のように診断名ではありません。
また英語に完全に合致する言葉があるかというとありません。
stiffness=硬い
という表現に変えられていたりします。
ただこの「張り」も広いくくりでは肉離れの元の英語である「muscle strain」の一部と考えて良いかと思います。
実際、ヨーロッパのサッカーリーグで試合中に肉離れの症状を発症した選手のうち75%はMRIなどの画像診断で損傷がなく、50%が画像診断では全く問題がなかったと報告されています。
しかしながら、そのような状態でも体は違和感を感じる。そんな選手が張りという表現で症状を長引かせてしまいます。
そのような視点で、近年提唱されているが神経筋肉離れという言葉です
神経肉離れ による筋骨格系障害のカテゴリーでは以下のように分類されています。
ー打撲、裂傷などの直接的な外傷
ー接触のない組織に問題のある肉離れなどの外障
ー組織に問題のない症状
組織に問題のない症状はさらにカテゴリー分けされ
1、神経筋疲労、2、遅発性筋肉痛、3、脊柱関連(ヘルニアなど)などからくる筋骨格系問題、4、筋骨格系の組織に問題はない違和感
となっています。
今までは筋肉の問題は組織の損傷レベルでグレード1〜4(もしくは1〜3)に分けられていました。
しかしこのような症状はどのグレードにも属さないグレード0という状態です。
このグレード0の状態が神経筋肉離れの状態であり、スポーツ障害において無視できない症状として注目されています。
神経筋肉離れでは慢性疲労症候群や遅発性筋肉痛との関連もあり、通常の状態よりも動きなどの反応も遅れます。
つまり脳で自分の動きの感覚が正確に認知できていない状態です。
スポーツにおいては次の一歩をこう踏み出す、こう腕をあげてこう投げる、など自分自身で細かな動きの認識が勝手にされています。
そのような反応が神経筋肉離れではしっかりとできない状態です。
まだまだこのトピックに関しては未解明な部分が多く、仮説レベルの話も多いのですが。
是非再度体の違和感の記事をご参照ください。
ここにこのような問題のヒントが隠されていると考えられています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3655286/
http://web.archive.org/web/20160518163118/http://ptjournal.apta.org:80/content/86/1/92
https://bjsm.bmj.com/content/47/6/342
https://bjsm.bmj.com/content/48/18/1347
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