ランナーを悩ます足のタコ。正しい治し方は?取ってもいい?

ランナー人口の増加とともにタコに悩む人も増加中
足のタコはなぜできる? なんでいつも同じ場所に? 改善策は?

 

ランナーには悩ましい足のタコやマメ。ひどい時には水泡となりまったく走れなくなることも。
せっかく準備を積み重ねてきたのに大会前なんかにタコで走れなくなるほど悔しいことはないですよね。

今回は、皮膚のトラブルでもありランナーの悩みのタネでもあるこの「タコ」について考えていきます。

(マメについてはこちらの記事にも)

まず、質問です。

ランナーにおいてタコができやすい場所ってどこでしょうか?

・・答えはこんな感じです。

「あ!ここ!ここ!」と思われた方もいるでしょう。
ただ、ふと振り返ると左右のどちらかいつも同じ場所にタコができていないでしょうか?

 

なぜタコは同じ場所にできるのか。

それを理解するにはまず「タコができるメカニズム」を見ていく必要があります。

 

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タコができるメカニズムについて

タコの皮膚の硬い部分は実は死んだ細胞であふれています
しかし、細胞が日々死滅していくのは人間にとっては全くもって普通のこと。
皮膚を始め組織の細胞は日々ターンオーバーという生まれ変わりを行っていて、皮膚を柔らかく維持をしたり、怪我からの再生をおこなっています。問題はそれが過剰になったり異常が起こることです

皮膚は細胞(主に線維芽細胞)と細胞のベッドのような存在の細胞外マトリックスで構成されています。
線維芽細胞はそのまま皮膚の元となる素材です。

一報、細胞のベッドはコラーゲンなどの繊維、基質となる成分(グルコサミノグリカン、プロテオグリカン)、それに非コラーゲンのタンパク質でできています。

やや専門的な話になってしまいますが、線維芽細胞が増殖因子と呼ばれる細胞を活性させる因子の影響をうけると細胞のベッドで育成をされて皮膚が生まれてくるわけです。

そのサイクルが適切であれば皮膚は柔らかく維持でき、活性がなくなったり少なくなると細胞は死んでいきます。

細胞が死んでいくのは普通のことなのですが、逆に怪我などなんらかの事情により活性が過剰になってくると、線維が増殖しすぎて細胞が過剰に死滅するという現象が起きます。これが皮膚を固くします。

この局所的に活性が強くなってしまい線維を増殖してしまったものがタコで、これはターンオーバーの異常が起きているということでもあります

次に本題、なぜ同じ場所にいつもタコができるのか?について。

これは「局所的に」活性が強くなるということを考える必要があります。

なぜある一部分で活性が過剰になり、皮膚に過剰なストレスがかかるのでしょうか?
ランナーであれば、それはランニングのメカニクスを知る必要があるでしょう。

走り方、フォームの細かい点についてはランニングのプロの方にお任せするとして、ここではタコとも関係の深い「着地」について注目してみたいと思います。
ランナーがどう足を接地するのがいいかという議論は絶えませんが、スプリントのような短距離でなく長距離のランニングでは基本的に人は踵から着地しつま先へと力を伝達することがわかっています。

人間は二足歩行への進化の過程で、自然とこのような効率よく力を伝達する方法を獲得し、歩くことができるようになりました。
(ララムリ族のようなつま先着地は特殊なケースかと思われます)
次の図を御覧ください。

左 歩行時のチンパンジーの力の伝達
右 歩行時の人間の力の伝達

こんな感じで、昔からかかとから爪先へ力を伝えてきたのですね。ただ、人間になると指使いなどが変わってきています。

 

次に、ご自身の踵を確認してみてください。

中々自分の踵を見る事は少ないでしょうが、踵が真ん中にあるのがニュートラル、右に行くと内反という踵が内に倒れてしまう状態。左に行くと外反という踵が外にいってしまう状態になります、

先ほど基本的に踵から接地するとお伝えしましたが、踵の状態によって力の伝達は変わってきます

内反が強くなると真ん中の画像のように踵から外側の方へ力がかかりやすく、外反が強くなると親指の内側の方へ力がかかりやすくなってしまいます。

この踵の傾きによって荷重が偏ると、活性が強くなりやすく皮膚も硬くなる。結果、タコができやすくなるのです。
走り込むランナーは月に何十万回と着地をしますから、踵の傾きがあれば着地の偏りもひどくなります。これがまず原因の一つ。

 

また足にはご存じのようにアーチがあり、それによってランニング時のショック吸収やステップのパワーを担っています

通常は、図のように足のアーチで力をうまく分散をしますが、アーチが低下すると以下のように力のうまく分散することができずに局所のストレスは過剰に。

足の詳しい話はこの足底筋膜炎の記事をご参照ください

これに加えて、筋力の左右差やアンバランスによるランニングフォームの偏りもあり、複合的な要因になって「局所」にストレスがかかっていき、いつも同じ場所に負荷がかかりターンーバーが過剰になります。

これが「同じ場所にタコができるメカニズム」です。

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では、できてしまったタコはどうすればいいのでしょうか?

アメリカには足病医(Podiatrist)という足専門のお医者さんがいます。
そのような方に相談して踵の傾きや足の状態を把握して対処するのがベストですが、日本では悲しいかなこういった方はほとんどいません。

そのアメリカの足病医、Dr. Splichalによると、ランナーのタコの対処法はまず第一に患部の保護、第二にクリームなどによる皮膚の健康的な循環を保つこと、第三にランニングに適応できる体の調整と伝えています。

 

第一のタコの保護は具体的にどうすればいいでしょう。
例えば、このようなテープを張り摩擦を抑えたり

このDr.Kong 足裏保護パッド(2個入り)のようなサポーターを装着したりして間接的に摩擦を減らしていきます。

 

第二の皮膚の健康な循環については、タコ細胞のベットの環境、つまり細胞外マトリックスの環境を整える事が重要です。

このような尿素などが入ったクリーム(ビューナ タコペリ(30g))による保湿をおこなうといいとも言われていますが、細胞外マトリックスの環境維持に関してはこの記事でご紹介したアルマード社などから発売されている卵殻膜サプリが私は効果が期待できると感じています。

そして最後に、長期的にはランニングのメカニズムや体の状態を調整することが非常に重要です。

「走り方」や「走るフォーム」に関してはランニングの専門家にお任せします。

ここでは体の機能的な問題の改善策をお伝えします。

皮膚の摩擦を減らすためのランニングメカニズム改善策

その1、足の感覚を繊細にする

足部には細かな感覚を感知するセンサーがたくさん存在します。

その感知が繊細になると「Reflective stability」という反射性によって体を安定させる能力が高まります。 そのカギとなるのが足の裏の内在筋という細かな筋肉達です。 これらの細かい筋肉達が接地の際に踵や足裏にかかる振動などの衝撃に反応して収縮し、いわゆる「足のインナーマッスル」として安定させます。

そのために足の裏自体の感覚を繊細にして反応を素早くし「Reflective stability」を向上させてやることで足への負担を減らします。

方法としては裸足の状態での時間をなるべく多く作って、足の裏に刺激を加えましょう。 これはボールでもいいですし、この記事のように振動ロールで振動をかける事によりより感知が上がります。 

2、筋のバランスを整えてやる。

前述の踵が傾いた状態 この状態は内側と外側、さらには股関節の筋のバランスが崩れてしまっています。

踵が内に傾いてしまっている状態だったら、次の動画のように下腿の内側、また臀部の前側の方を中心に筋肉を緩めてあげましょう。

反対に踵が外側に傾いてしまっている状態だったら、この動画のように下腿の外側と臀部の奥の方を中心に筋肉を緩めてあげましょう。

3、アキレス腱の柔軟性を保つ

ランニングなどでは「弾性エネルギー」というバネが伸び縮みするような働きが重要です。

着地でしっかりバネを縮め、蹴り出しでバネを伸ばします。 その動きは筋の収縮作用よりも「腱」などの組織による「弾性エネルギー」によるものです。 そのため、アキレス腱が硬い状態だとバネをしっかりため込めず、また弱いとバネ自体の反発性が低下します。 アキレス腱と筋肉の境目くらいにコロコロ、もしくは振動ロールをかけてやりましょう。

それに加えこのようなエクササイズやスクワットジャンプなどで腱自体を強くしてやりましょう。

 

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タコは削り取った方が良いのか?

また、できてしまったタコを削り取ったほうがいいのかというのも気になるところでしょう。

上記のDr.Splichalは基本的には削らない方がいいとしています。

その理由は削ることにより細菌感染のリスクも増え、その皮膚の保護作用も低下してしまうからということ。
また、削っても局所のストレスがかかるメカニズムを変えないと再びできてしまうため。
上記の理由で削ることは勧めていません。

しかしながら、皮膚が痛みを伴ってきたら削るのも一考との事です。

 

追記 前足接地と後足接地ではタコのできやすさは違うのか?

近年、前足(forefoot)接地と後足(Rearfoot)接地どちらがいいのか?という議論が絶えませんでしたが、こちらはタコのできやすさと関係あるのでしょうか?

実際のところ接地の際に前足接地ではつま先側、後足接地では踵側の真ん中部位に重力のかかり方が増加して摩擦が増え、その部位にタコはできやすいとの報告がありますが、前足接地と後足接地で一番変化するのは足への負担のかかり方です。

前足接地ではふくらはぎの負担が大きくなり後足接地の場合は膝への負担が大きくなるようです。

長距離などアキレス腱の弾性エネルギーに大きく依存する場合は、後足接地の方が負担が小さく足の皮膚へのストレスも減少するでしょう。

これはまた議論多きトピックなので引き続き更なる研究が必要になります。

(参考文献)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5528965/

 

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