こむら返りと肉離れはどう違う?原因と対処法は意外にシンプル!?

こむら返りと肉離れの違いとは

夜中にふくらはぎが痙攣して激しくつった・・いわゆるこむら返りには誰しもなったことがあるかと思います。

そのあまりの痛みに一瞬肉離れではないか?と思う人もいるかと思いますが こむら返りと肉離れは違うものです

英語で言うと、こむら返り=Muscle cramp、肉離れ=Muscle strainになります。

まずは、治療が必要で重度な肉離れから説明していきましょう。

肉離れとはどんなものか。

少し学術的な定義をすると、筋に強い収縮が起きたときに生じる伸張ストレスにより血管や筋線維、腱膜、筋膜の損傷が生じることとなっています。 しかし、意外なことに「どの原因によって起こるか」という明白なメカニズムは今もはっきりとは解明されていない状況です(1)。

ふくらはぎの肉離れもハムストリングスと同様にスポーツにおいて頻出する症状で、また多くは再発もしてしまう部位になります。よく言う肉離れがクセになるというやつです。

年齢や既往歴などの影響で再発するとの研究レビューもありますが、しかし再発メカニズムも未だにはっきりしていないのが実情です(2)。

肉離れという言葉や症状はよく聞きますが、意外にわかっていないことが多い怪我なのです。

それに対してこむら返りのメカニズムは比較的わかりやすいです

寝ている時、運動しているときこむら返りは起こります。

その時、何が起こっているのでしょうか。

マラソンを頑張って走り切った後にこむら返りになる。

試合の最中、後にこむら返りになる。(FIFAによると試合の方が足がつりやすいと報告があります)

このような運動後、または運動中に痙攣するのはEIC(Exercise Induced Cramps)運動誘発性の痙攣です。

これは基本的には筋の疲労が原因です。よく言われる脱水や電解質不足などは実は大きく影響しません。(3)(4)

睡眠中、こむら返りになる。 そんなに運動していないのに足が夜中に痙攣する。

こういう方も多いかと思います。

これは運動後と同様に実感していなかった(慢性的な)筋の疲労や薬の副作用、また鉄分の不足が要因として発生します。

つまりこむら返りは筋の疲労が主な原因でわりあいシンプルなものなのです。

また、余談ですが筋肉がピクピクする痙攣というのもあります。 「つったー」という感じではなく寝ているときに筋肉がピクピクっとする以下の状態になったことはありませんか?

これは「ミオキミア」という症状で起きているときも寝ているときも発生します。

病理的なものは完全には解明されていませんが、神経の活動が過剰に発火してしまっている状態です。

運動疲労や不眠、カフェインを取りすぎたなど日常的な要因でも起こりますが、脳梗塞など危険な症状でも起こります。

こむら返りとは違うものなので、症状が長引く場合は早めに病院に行くなど対処が必要です。

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こむらくだ

疲労ではなく損傷が原因の肉離れ

話を戻しますが、こむら返りのような痙攣は主に筋の疲労が影響しますが、肉離れは筋の疲労にあまり関係なく起こります。 では肉離れとはどのような状態でしょうか?

肉離れは軽いものと捉えて病院に行かない人も多いです。実際、一般整形外科のケースでは捻挫よりも来院数は少ないようです。

しかし、それは肉離れなのか?ただ筋肉が硬いのか?もしくは痛いと感じるだけなのか?もしくは筋肉痛と同じようなものか?確認が必要で、肉離れでは組織が少なからず損傷しています。 損傷の度合いによって、症状の重さも変わってきます。

あまり軽く見ないほうがいいのが肉離れでもあるのです。

肉離れなのかの判断はどうすればいいのでしょうか。

肉離れがいつ発生したかはわりあいわかりやすいです。英語では、汚い表現ですが”Shit Moment”などと言ったりします。

例えば野球でヒットを打ってベースに走ってストップしようとしたとき。。。

要するに急な強い筋の収縮が起こったとき、もしくは急激に筋が引き伸ばされた。こんな時によく起こります。

次に考えるべきは、

発生からそれほど時間が経っていないか?

損傷している部位を動かしたら痛い?(組織の急激な伸張でも起こりますので筋肉以外でも、筋腱、腱、膜組織近くなどに発生する可能性があります。その場合は筋の収縮時(損傷部位を動かしたとき)に痛みが出ない可能性があります)

腫れているか?

熱感があるなどの症状が出ているか?

こういったポイントを見ていきます。

また痛みから損傷している場所が「ここ」と特定がしやすいのも肉離れの特徴です。

状態を把握するためにMRI、エコーなどで確認するのが再発防止(再発防止も未だに明白にはなっていませんが)のためにも重要です。 ひどく痛む場合は早期にそのような検査機器がある医療機関に行くことをお勧めします。

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損傷しているので組織の修復のために体は炎症期に入ります。そのため、「体を修復させる」という事が肉離れでは最善の治療になります。

炎症期の過ごし方として、アイシングや抗炎症をさせるかというのは未だに議論があります。

伝統的なセオリーだとPRICE処置(Protection保護、Rest安静、Iceアイシング、Comptession,Elevation挙上)を施すべきと教えられているところが多いです。

しかしながら体の修復の為に炎症は必要であり、何も処置をしない方が良い、筋の収縮により組織が腫れているのでアイシングはしない方がよい。こういう考え方が近年は主流になりつつありますが、これは時代性もあると思います。

 

現在の研究では、修復に関わる筋線維芽細胞を増殖させるという処置により肉離れの回復を速めるという事も試されています。

とにかく肉離れのように組織に物理的な損傷がある場合は、「自力で自然に修復する」という期間は必要です

それを長引かせないようにアイシングや痛み止めで痛みをコントロールし、保存治療をしたり、復帰後の筋の活動の為に適切なリハビリを行うという位置付けです。

しかし、研究者としての実感は悲しいかな、肉離れに関して分かっていることは「分からないことだらけ」という事だけです。。。

まあ、私の研究のテーマで、長い付き合いになりそうなのでまた情報をアップしていきます。

追記

運動後に起こるこむら返りの問題点と対処法

運動後に起こるこむら返りは筋の疲労が原因とお伝えしましたが、もう少し詳しくお伝えします。

筋肉は電荷活動、つまり電気で動いています。 運動する際はまず脳が動け!と命令します。そして小脳前庭系というところで調整をします。

その命令が運動神経を通りターゲットの筋肉へと伝わります。最終的に筋肉まで届き、筋肉が動くという流れです。

しかし、時に脳が安静を維持していなければならない筋肉に対し動け!動け!と命令し続けてしまうことがあります。

そうすると、筋肉が過剰に収縮してしまいいわゆる「こむら返り」「痙攣」という事になってしまいます。

 

この対処としては、

1、動け!という命令自体を抑制する

2、脳へ動けと命令してくれ!という情報を減らす

という二つがあります。

うーん。分かりにくいですかね。

さっくり簡単に言うと、「こむら返りや痙攣している状態は脳が抑えが利かず動け」という命令が過剰なんです。 過剰なものを抑えなければなりません。

神経は活動系と抑制性によって維持をしています。その抑制性の神経伝達物質、神経伝達機能により「動け」の命令を抑えることが対処として重要です。

このためにはどうすればよいか。

適切なトレーニングや筋バランス、姿勢、メンタルコントロール、関連する薬を極力控える、運動時の糖質の取り方を工夫するなどがアプローチとしてよいかもしれないとは言われています〈5〉。

個人的な意見になりますが、練習より試合の方が痙攣が起こりやすいという事から神経のコントロールは重要な要素かと思います。

抑制性の神経伝達であればサプリメントではマグネシウムテアニンGABAを摂取する。

伝達機能であれば呼吸、瞑想などのリラックス効果を狙う

あくまで個人的な意見なので確証されたものではありませんので悪しからず。

こむら返りが酷いと肉離れになるという都市伝説は本当か?

最後に、こむら返りが酷いと発展して肉離れになるという都市伝説があるようです。

お伝えしているように肉離れの要因は未だに明らかになっていないのでその関係性は否定していいでしょう。

試しに、医療の論文でこむら返り=muscle crampと肉離れ=muscle strainと関連検索しても全く妥当なものは見つけられません

筋肉は神経からの情報が入って収縮します。

こむら返りはそういった「筋収縮」の問題です。

一方、肉離れは筋肉の「組織」の問題です。

酷いものは筋肉の損傷、また腱膜などの損傷が起こります。

こむら返りのように過剰な筋収縮何かしらの要因で起こっていても一度、収縮が収まったら組織には大きな影響を与えません。

そんなことをする人はあまりいないとは思いますが、例えばマラソンで足がつってこむら返りの状態になった。そのまま走り続けると肉離れが起こる可能性はあるかもしれません。

伸びて縮んでという走る動きの中で筋収縮に問題があると組織は運動には耐えきることが難しくなります。

しかし、通常はこむら返りで過剰な筋収縮が起きた後に運動を続ける人はいませんし、寝ている時に起こることも多いので運動とセットになることはあまり考えられません。

 

あたかも「こむら返りがひどくなると肉離れになる」と誤解を与えるような記事が散見されるので、ご注意ください。メカニズムがまったく違います。

とにかくどちらも長引かせるのはいい事ではないので早めに解決をしないといけませんね。

 

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こむらくだ

 

(1)Risk factors for hamstring muscle strain injury in sport: a systematic review and meta-analysis Grant Freckleton 2012

(2)Sports Medicine August 2004, Volume 34, Issue 10, pp 681–695 Factors Associated with Recurrent Hamstring Injuries

(3)Minetto MA, Holobar A, Botter A, Farina D. Origin and Development of Muscle Cramps. Exerc Sport Sci Rev. 2013 Jan;41

(4)Schwellnus MP, Drew N, Collins M. Increased running speed and previous cramps rather than dehydration or serum sodium changes predict exercise-associated muscle cramping: a prospective cohort study in 210 Ironman triathletes

〈5〉Sports Med. 1996 Jun;21(6):409-20. Exercise-induced muscle cramp. Proposed mechanisms and management.

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