いわゆる四十肩、五十肩で悩まれている方、多いかと思います。
年齢を重ねるうちに可動が低下し肩を上げるのが大変になってくる。「肩が上がらない」というやつです。
しかし、実は四十肩、五十肩というのは病名ではありません。
年齢とともに肩が上がりにくくなったら四十肩や五十肩が原因と言われませんか? 言葉とは便利なもので四十肩と言われれば年齢のせいで肩のパーツの老化が起きているのかなと思ってしまいますが、そんなに単純なものではありません。
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実際のところ、年齢とは関係なく肩が上がりにくい症状は出てきます。よく見てみれば、トップアスリートが肩が上がりにくいという症状と年配の方の症状で大きな差異がないケースもあります。
肩が上がらない原因は?
「まったく肩が上がらない」という真正の症状はフローズンショルダーといわれる状態です。
関節の可動域が全域で自動でも多動でも制限がかかってしまっています。
肩関節は自由度が本来高いのですが、関節包という文字どおり肩を覆う部分の繊維が固まってしまうと、その制限により可動が全面的に低下して「肩があげられない」状態に。
原因はいまだにはっきり解明されていません。
50%は手を着いて転んだなどの外傷でセカンダリーフローズンショルダーといわれますが、50%は未だに原因ははっきりしません。糖尿病との関連性があり、糖尿病をもっていると発症率は10~20%上がると言われていますが、大きな差異はないという文献もあります。(参照論文1)
組織学的な観点から見ると、糖尿病による体内環境の変化の影響を関節包の繊維部分が受けているのかもしれません。
初期段階の症状としては肩の中から重だるく熱く感じ、腕の上から肩にかけての痛みがあり、動かすと鋭い刺すような痛みを訴える事が多いです。またインピンジメント症候群のような肩が詰まった感覚が出ることもあります。
そこから少し慢性化してくると分散痛がでてきたり、腫れてきたりします。
このような症状で一番重要なのがメディカルカウンセリングです。
つまり餅は餅屋、整形外科でレントゲンなどのスペシャルテストで把握すべき症状です。
その後、手術を回避できたら地道なリハビリと修正により改善は早くなります。
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では「肩が上がりにくくなる」原因は?
では、肩が「上がらない」フローズンショルダーではなく肩が「上がりにくい」という症状は何でしょうか?
これも原因ははっきりと確定されていませんが、多くの状態では肩関節は肩甲骨と連動して動くため、この連動性が乱れるのも大きな要因です。(参照論文2)
この肩と肩甲骨の連動性がみだれた状態がスキャプラディスキネジア、スキャプラディスキネシス(Scapular dyskinesia, dyskinesis)などと呼ばれます。
. 肩甲骨は骨と骨の連結がなく筋肉によって安定しています。
つまり宙ぶらりんになった肩甲骨を筋肉で吊り下げているような状態です。
その為、その付近の筋の影響を非常に強くうけます。
よくあるパターンの一つとして肩を外転(横から腕を挙げる)する際に肩をキュッとすくめてから外転の動きをするパターン。その為、肩と肩甲骨の連動性が乱れ肩が「上がりにくい」状態になってきます。
このように筋肉のアンバランスやその他で機能的な動きが繊細にでてしまう部位なのです。
肩甲骨に付着する筋は18~20個ほどあり、その中には肩の関節、肋骨などに付着する筋もあります。その相互関係によって肩の機能的な問題が生じ肩が上がりにくくなってしまいます。
このように肩は構造が複雑なので、どこが?どのように?と問題を見つけるのが難しいです。機能的にしっかり把握しなければ凝った~~~と思うところだけをガンガン揉んだりしたら余計悪化してしまいます。
痛みに直接アプローチしようとせず、痛みが出ている原因を把握してから対処法を考えるようにしたいものです。
(1)http://europepmc.org/abstract/med/18475240
(2)http://journals.lww.com/jaaos/Abstract/2003/03000/Scapular_Dyskinesis_and_Its_Relation_to_Shoulder.8.aspx
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