ハムストリングの肉離れはなぜ起こる?ハムストリングの正しい整え方

 

ハムストリングの肉離れを慢性化させないために

また、その予防にハムストリングはストレッチすべきか?

今回はこのテーマを考えてみたいと思います。

 

ハムストリングの肉離れは(Hamstrings strain)は様々なスポーツにおいて頻発する症状です。

また、やっかいな事に何度も繰り返すという方が非常に多い症状でもあります。

 

では、なぜハムストリングの肉離れは起こるのでしょうか?

充分なウォーミングアップが出来ていない時は疲労が蓄積している時が注意です。

多くの方はそういった時のダッシュの初動やストップの動きでハムストリングを「イワせて」しまう事が多いです。

 

「イワ」せないために知っておきたいのは、走る時にハムストリング(大腿二頭筋)に必要とされる二つの能力。

1、着地である接地期に筋肉が伸びながら働いて減速をするという伸長性収縮能力と

2、着地した脚を前に蹴り出すという遊脚期に筋肉が縮こまりながら働く収縮性能力

この二つです。

 

走る際には、ハムストリングという筋肉がこの二つの能力に耐えうる強さが必要になってきます。

ハムストリングの肉離れを起こす人の多くははこの強さが足りません。

ダッシュなどランの強度が増せば、要求される筋肉の強さも上がります。

 

 

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1、ハムストリングの強度を上げるためにはどのように鍛えればいいのか?

 

体が温まっていない状態で運動しハムストリングを痛めるという方を多くみます。

ハムストリングは股関節、膝関節両方ともに関わる筋肉で、また屈曲、伸展という曲げ伸ばし、回旋という捻りの動きにも関わってくる筋肉です。足の動き全般に関わります。

ですので、トレーニングするにも知識をもってしっかり狙ったところに効かせることが必要です。

ハムストリングを鍛えるエクササイズは種類によって使われる部分が変わってきます。

レッグカールは主に膝に近い遠位部のハムストリングが使われ、デッドリフトのような運動は骨盤部、股関節部に近い近位部のハムストリングが主に使われます。

また、OKC(体の接地面が地面に接しないで重力が体にかからない状態)だと基本的に筋肉は筋肉の付着の近位から遠位に働くようになり、CKC(体の接地面が地面に接していて重力が体にかかる状態)だと骨盤部、股関節を安定させるような作用も担ってきます。(参照小論文1

股関節が不安定な方、または関節がロックされていたり動きにくい状態で機能不全になっている人が、レッグカールのような運動をすると過剰に膝部分のハムストリングが使われすぎてオーバーワークになってしまい、膝の違和感やハムストリング内のアンバランスを引き起こします。

多くのスポーツはCKCの状態で行うことが多いかと思いますので、実際の動きを想定するなら股関節の安定を考えハムストリングはデッドリフトのようなエクササイズで鍛えるといいかと思います。

レッグカールは筋の萎縮を抑える、太さを作るといった目的には良い運動となりえます。

個人的にはアメリカングッドモーニング、ロシアンハムストリングカールは好みのエクササイズです。

 

2、ハムストリング根元の安定性

 

ハムストリングスの大腿二頭筋の付着部位は坐骨結節という骨盤の一部から始まり、膝に近い筋肉の先の部分につながります。

その力をしっかりと発揮させるためには根元である股関節、骨盤部の安定性が重要になってきます。

その安定性が「走る」という動作のメカニクスを支えます。逆に言えば、そのメカニクスの崩れはハムストリングの肉離れに影響を及ぼします。

ハムストリング根元の安定性に必要なのは?

いわゆるお腹のインナーコアと言われる骨盤底筋など、それに呼吸と関連した横隔膜、腹横筋その他で構成される腹腔。 それら臀部を含めたインナーコアの安定性がハムストリングの安定性、肉離れに非常に大きく関わってきます。

つまり足だけでなくその大元の体幹部の安定も重要だということです。

 

3、筋肉の伸張性

もう一つ重要なポイントはハムストリングの伸び縮みする力です。

ハムストリングは体幹部についています。その近くの組織には梨状筋を始め股関節の筋肉群がついています。股関節まわりのインナーマッスルです。

その中のどこかの筋肉、例えば梨状筋側が収縮が強いとそちらへの方向性へ引っ張られます。それにより筋肉のバランスが変わりハムストリングへの力のかかり方が変化してしまいます。

その結果、ハムストリング側に変な負担がかかり理想的な収縮力を失い、例えば反応が悪くなるなどが起こる可能性があります。 それが障害につながるというケースも度々見られるケースの一つです。

ハムストリング単体で見るのではなく、周囲とのバランスで見て行くことが重要です。

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では疑問! ハムストリングはストレッチをすべきか?

 

ハムストリングをどれだけストレッチしても硬い?運動してる時や前屈をしたりするとハムストリングが突っ張る。

だからいつもストレッチしてるけど硬いまま。そんな方がたくさんいます。というかほとんどの方がそうじゃないでしょうか。

上記の要因があればいくらハムストリングをストレッチをしても硬いままです。

ハムストリングのストレッチの必要性はあえてここでは言及しませんが、 今回はこんな要因もありますという説明を。

多くの運動の際、身体は回旋という捻りの動きを要求されます。

特に重力がかかる運動だと下半身から上半身へ力を伝えるために腰回りに安定性が必要になります。

競技特性や身体の癖があってこの捻りの機能がしっかり行われていない場合、 腰回りが常に捻った状態になり骨盤の腸腰靭帯や仙結節靭帯、その他の靭帯などの伸張性に影響し、動きを制限します。

そのため臀部の筋力が発揮出来なかったりハムストリングが硬く感じたりする可能性があります。

ハムストリングが硬いからと言ってストレッチだけするのはあまり意味がありません。

まずは身体、特に股関節周りの状態がどのようになっているのか把握してからアプローチしましょう!

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追記

がっつりアスリートとほどほどアスリート肉離れの再発率は? 肉離れ起こしたらいつ復帰したらいいの?

肉離れは再発率の高い障害です。

統計ではオーストラリアフットボールで27%、アメフトで32%、サッカーで16%が再発をしてしまうとされています。

しかしながらなぜ再発してしまうかは未だ未解明のところも多いです。

 

さて、こちらの研究(参照2)では43のトップレベルのヨーロッパプロサッカーリーグの選手、ハイレベルの19のスエーデンのトップサッカーリーグの選手、10のアマチュアのサッカーリーグの選手を比べています。

すると、トップレベルで再発率が16.6%、ハイレベルで25%、アマチュアで35.1%とアマチュアの方が再発率が高かったとのこと。

このあたりリハビリや治療に長けたチームドクターやスタッフがいることも影響しているかもしれません。

また、シーズンが進むにつれて受傷率は上がります。そのあたりは疲労との関係性もあるのかもしれません。

実は、近年では再発率は低下傾向にあります。過度な伸張性の収縮が組織の制限以上になった時に肉離れは起こるとされています。その伸張性の収縮能力のリハビリトレーニングは最近盛んにおこなわれるようになったので、効果がでたのかもしれません。(あくまでしっかりとした研究結果がでていないので仮説レベルです。)

 

伸張性のリハビリエクササイズの代表的なものは

1,ロシアンハムストリングカール 2、ルーマニアンデッドリフト、3グッドモーニングあたり。こういったリハビリが取り入れらるようになってきています。

1,

2,

3,

では、いつからトレーニングや競技復帰したらいいの?

非常に多く聞かれる難しい質問です。

なぜ再発するのかというのが明白になっていないので基準は非常に難しく、2か月以内に再受傷をしてしまう率も高いです。

またそのような場合はリハビリの再考が必要になります。

サッカーでは10ステップ リターントゥプレイ プロトコールを行うと66%再発を低下させるという報告があります(参照3)。

10ステップ リターントゥプレイ プロトコールは

ステップ1、足を伸ばしたジョグ

ステップ2、8の字ジョグ

ステップ3、ジグザグジョグ

ステップ4、90度ターンジョグ、

ステップ5、180度ターンジョグ

ステップ6、360度ターンジョグ

ステップ7、個別のボールトレーニング

ステップ8、ジャンプ、ダッシュ

ステップ9、チームトレーニング

ステップ10、試合

 

この流れに従ってリハビリレベルを向上させればよい可能性があると示唆しています。

もちろんまだまだ肉離れの危険因子、相関因子が明らかになっていないのでやっちゃう時はやっちゃうのですが、Better than nothing。色々とケアやエクササイズをしてみる価値はあるかと思います。

 

 

(1) Journal of Strength & Conditioning Research: January 2015 – Volume 29 – Issue 1 – p 159–164

http://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/2015/01000/Regional_Differences_in_Muscle_Activation_During.20.aspx

(2) http://bjsm.bmj.com/content/early/2016/03/25/bjsports-2015-095951

(3) http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0363546507300063?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

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